
KIMURA KANTA個展 『Berlin Blue』– Artist Interview
2026年5月7日
Artist Statement|
KIMURA KANTAはドイツ・コブレンツで生まれ、現在はベルリンを拠点に活動している。
日本出身の両親は1970年代にドイツへ移住し、父はヴァイオリン製作家として活動している。
こうした背景のもとで培われた意識は、古典的な絵画の伝統と現代的な革新を融合させる制作へとつながっている。
「Ukiyo」――流動し、儚い世界は、キャンバスの上に立ち現れる。
シリーズ「Ukiyo」は、「流動し、儚い世界」を意味する仏教的概念に着想を得ており、万物の絶え間ない変化とダイナミズムを主題としている。
重要なのは、単なる無常ではなく、知覚されるすべてのものが持つ絶え間ない運動とダイナミズムである。
継続的な流れと変容というこの考えは、現代的かつ抽象的な形で表現されている。
この流動的な動きは、色彩の変容とダイナミックな構成によって作品の中に捉えられ、すべてが常に変化し続けていることを可視化する。
画面の中で起こる変化は、固定されたイメージではなく、運動そのものの痕跡として現れる。
本展では、白(チタニウムホワイトとジンクホワイト)とベルリンブルーの二色のみに表現手段を絞った。
乾いた青の下地の上で制作を行い、筆で油絵具を塗布した後、圧縮空気を用いてその形をさらに変化させる。
白い絵具は圧縮空気によって動かされ、凝縮され、流動し続け、やがて静止するが、その過程は画面の中に痕跡として残り続ける。
このプロセスによって、色彩は絶えず変化しているかのような印象を帯び、動的で抽象的な構造が形成される。画面全体の動きの中で、絵具は生命力と流動性を持ち、その変容によって作品に生命が吹き込まれ、あたかも絶えず動き続けているかのように見える。
画面の空間は、こうした絵具の凝縮と運動の蓄積によって立ち上がる。色彩のニュアンスは、青い下地の上における白の密度の差異によって生まれる。形態がもたらす空間的効果にもかかわらず、その表面は完全に滑らかであり、まるでプリントのような均質さを持っている。
アトリエでの制作は、反復、観察、そして調整によって形づくられている。しかし、その過程の一部は常にコントロールを離れている。
この予測不可能な要素こそが不可欠であり、常に新しく、驚きに満ちた構図を生み出す。
この反復は、ひとつのイメージを探る行為でもある。すなわち、自らの存在感と内在的な力を持ち、内側に動きを宿したイメージである。
作品として成立させるかどうかの判断は、ほんの数秒で下される。
KIMURA KANTAの視覚言語は、こうした反復的なプロセスの中から形成されてきたものである。
それは制作の過程にさまざまな状態をもたらしながら、 それでもなお、ひとつひとつの作品は唯一無二のものとして在り続ける。