
『n/N展』
2025年6月3日
『n/N展』
会期|6月6日(金)-7月12日(土)
このたびBALCでは、「n/N」と題した展覧会を開催いたします。
[n/N展によせて]
本展は、個人的な蒐集から始まったコレクションをもとに構成されたもので、現代アートを代表する作家たちの版画作品を中心に紹介している。
タイトルに掲げた「n/N」という言葉は、版画作品に記されるエディションナンバー、たとえば3/30 や 7/100 といったような表記に由来している。
版画には通常、あらかじめ制作部数(エディション)が定められており、その数を超えて刷られることはない。
分母には総制作数、分子には通し番号が割り振られ、それが画面下に分数として記される。
すべて同じ図像でありながら、それぞれに異なる番号を持つ一枚一枚。
そこには、量産とも一点物とも異なる、版画ならではの在り方が宿っているように感じられる。
「n/N」という無記名のような表記にしたのは、そこに見る人それぞれの意味が重なっていくことを願ったからだ。
同じ図像を前にしても、感じ方は人によってまったく異なる。その多様性を許容する余白こそ、アートの大きな魅力なのではないかと思っている。
この場所は、アートをもっと身近に感じてもらいたいという想いから生まれた。
そのため、今回の展示ではいわゆる「アート好き」だけでなく、日常のなかでふと足を止めた人にも、ひらかれた場であることを大切にしている。
アートとの出会い方に、正解や順序はない。
たとえば、美術館で出会う静謐な感動もあれば、SNSの小さなサムネイルから生まれる好奇心もある。
本展がそのような「はじめまして」となるなら、それはとても幸せなことだ。
現代アートに対して、「難解」「気取っている」「わかる人だけの世界」といった印象を持つ人も少なくないかもしれない。
けれど本来は、アートはもっと自由で、もっと感覚的なものではないだろうか。
理屈ではなく、ただ「なんとなく好き」や「これはちょっと合わないかも」という感覚をもって、目の前の作品と、自分自身と向き合うこと。
その素朴な入り口に、もっと肯定的であっていい。
本展が、あなたとアートとの距離をほんの少しでも縮めるきっかけとなりますように。